葉桜の森の満開の下

今更言うまでもないが僕の大学生活は青春とは程遠い。海水浴、夏祭り、スキー旅行、クリスマス、etc...やりたいことはたくさんあったがどれも果たせてはいない。5年間も通ってやってるのに何たる仕打ちか。しかしながら昨日ついに花見だけはやることができたのでそれでも青春とは程遠い僕のグダグダな花見についてちょっと書いてみようと思う。

舞台は鶴舞公園。名古屋では桜の名所の一つに数えられる。上空から見た形がモンスターボールに似ていることから一時はポケモンGOの聖地として話題になり、もしかしてこちらの方が有名かもしれない。後輩の「花見やりましょう」の一言からこの企画は始まったわけだが、僕の灰色の青春にふさわしく鶴舞駅で待っていたのは野郎3人。実は女子も一人参加する予定だったのだが3時間も遅刻してきたのでスタートはこの4人である。

コンビニでしこたま酒を仕入れいざ場所取りに赴く。もう桜はほとんどが葉桜になっていてシーズンは過ぎていると思うのだが流石は桜の名所。大勢の人で賑わっていたがなんとか場所は確保できた。そこからはもうめちゃくちゃである。飲めや歌えやのどんちゃん騒ぎ。話は藤田嗣治の戦時中の態度や自然主義文学、村上春樹の『騎士団長殺し』に大江健三郎の初期長編にまで及びとにかく退屈はしなかった。13時から19時までは飲んでいたと思うので都合6時間。ほとんど記憶がない。そこからさらに居酒屋へ河岸を変え21時まで飲みなおしカラオケへとしけこんだわけだがすでにゲロは5回は吐いていたと思う。

余談だがナンパもやった。「男だけで飲んでるんですがお姉さんたち一緒に飲みませんか?」と女子1~3人でいるところに片っ端から声をかけた。悲しきかなモチのロンすべて玉砕である。泥酔キモオタクから声をかけられたお姉さんたちも堪ったもんじゃなかっただろう。19の時にも同じ場所で先輩たちとナンパを敢行したことがあったのだが、「今何してますか?」というわけのわからない声のかけ方をやってしばらくは先輩たちからバカにされ続けた。その時のコミュ障っぷりに比べれば格段の進歩があったのではないかと思う。

家に帰ってからも4回ぐらい吐いた。1時半には寝たと思うのだが翌朝目覚めてもまだ気持ちが悪い。また吐いた。そして寝た。月曜日は唯一講義を受ける大切な日だったのだがやってしまった。2回目から自主休講である。卒業できるのか俺。

それはともかく花見は良いものである。酒を飲む。なんだかその行為が正当化されているようにも感じる。プラトンの『饗宴』じゃないけれどこれからも酒を飲んで文学や人生について語り明かすことは飽きてしまいたくない。そう思わせてくれた。俺の青春。これでいいのだ。