2018/1/14

  すべての決着はついた。また失恋の痛手に悶え苦しんでいる。何もかも忘れるために図書館に来た。しかしどうもできそうにない。人は過去に拘泥しないでは生きられない。少なくとも僕はそうみたいだ。こんな時は自己啓発本めいた文句が思いつく。失ったものがあるから今を大切に思える。もうままならない過去ばかり見つめている僕から出た言葉とは思えない。考えが二転三転する。ちょうど昨日彼女を小説にしようと思った。でも今は書くのもアホらしくなってしまった。綺麗に言うなら嘘にしたくない。虚偽を混ぜたくない。さっき彼女とのLINEの履歴を消した。DMの履歴はまだ削除できなかった。もう関わらないと決めた。嫌われているから。臍を固めた。はずだったのだがその舌の根も乾かぬうちに頭は彼女に占有された。窃視の欲望がある。SNS時代だ。それは容易い。僕はそういういわゆるネトストをよくやった。だが今ではそれもみっともなく思える。他にやることがある。未来がある。僕を取り巻く環境は以前よりも格段に良くなった。馬の合う友人がいる。夢がある。はるかに世慣れた。本も読んだ。だから燻ってちゃいけない。僕は僕の道を歩き出さなくちゃいけない。頭の中にアニソンの歌詞が流れる。こんな世界に残された僕は一人何を思えばいい、だとか。朝が来れば笑えるだろうかあの日のように笑えるだろうか、だとか。質問箱で以前届いたこんな言葉を思い出す。お前はいつも被害者ぶっていると。喧嘩別れした後輩に言われた言葉を思い出す。あんただけがつらかったり悲しいわけじゃない、押し付けるな。と。どちらもその通りだ。23年生きてれば魯鈍な僕でもさすがにわかる。一つ思ったことがある。最近ベルセルクのアニメ版を見返した。ガッツは言う。グリフィスの横に立つためにはあいつの夢にすがってちゃいけない。俺は俺の戦いをする。そしてガッツはグリフィスの元を去る。物語の解釈をしたいわけではない。言葉だけを抜き出してみる。僕は生きていなかった。彼女に縋っていた。初めは違ったかもしれない。だが僕の悪い癖が出た。いつからか生きていなかった。投げ出していた。それだけはわかった気がする。もう彼女は別の世界で生き始めた。二度と交わることはないと思う。これまで色々な人との別れを思い出しながらそう感じる。アニメのセリフに感化されるのはいかにも人間が安っぽいが僕も僕の戦いに赴こうと思う。彼女のことは忘れない。というか忘れられない。だけども止まることはできない。せめて彼女の幸せを頭の片隅で願いながらどうにかまた歩いて行こうと思う。